<リフォーム費用の考え方>
1.坪単価の相場は20万円? まずすごく乱暴なことを言いましょう。長屋やアパートのリフォーム相場は坪単価で20万円くらいです。10坪なら200万円。あくまでもこれは、特にデザイン等を重視せず元の間取りを活かしてきれいにする場合の話です。古すぎるような設備はもちろん現代的な設備に改造する前提ですが。 リフォームの費用は、建物の状況によっても変わってきます。電設や水道配管、あるいは基礎や骨組みがそのままでは使えないとなればその分費用も高くなるでしょう。耐震補強が必要になる場合もあるでしょう。 古い長屋やアパートをリフォームする場合、普通にただきれいにしただけでは入居してくれる人がいないかも、ということも当然考えないといけません。まあそのあたりは近隣の競合状況や地域特性(大学が近くにあるとかお年寄りが多いとか)にもよるので一概には言えません。でもまあ日本中の多くの地域で、古い建物を普通にリフォームしただけでは入居率が確保できないという時代がおおむね到来してしまっているということは事実でしょう。と考えれば収益を見込むために実際にリフォームにかけるべき金額は上の金額より少し高く設定せざるをえないでしょう。一点豪華主義的に工夫してコストは抑えて利益が見込めるプランを立てないといけません。
2.入居率80%なら優良物件? 入居率の話をせねばなりません。築10年くらいの平均的なアパートやマンションの入居率は徐々に下がっていっています。立地やらグレードやらいろんな条件があって一律には語れませんが、入居率が80%を超えていれば優良な物件ということになるようです。つまり平均的な入居率はもっとずっと低いということですね。残念ながら全国的に入居率を調査したようなデータはおそらく存在しないので想像するしかありませんが。 話が少し逸れましたが、とにかく大家さんを取り巻く状況は厳しいものです。人口が減っていってる時代ですし、しかも東京以外では極端にその傾向が強いわけです。であるのにも関わらず、新規参入で新しいマンションやアパートがどんどん建って完全な過剰供給状態です。地方都市では、さびれた駅前の再利用ができず、ちらほら増えていた空き地が次第にマンションに変わっていっていることでしょう。まずは日本の大半がそういう状況であるという認識をきちんと持つことが必要です。芽生えた危機感に耳を傾けてください。その上で近隣の住宅事情の情報収集をしていけばいくつか選択肢が見えてくるはずです。
3.損益分岐点を見極める? ようやっと話をぐぐっと戻します。「損益分岐」(利益が見込めるライン)の考え方です。リフォームが是か非かは地域の家賃相場、立地等でだいぶ変わってきます。仮に10坪の部屋で家賃が7万円も取れるような地域&立地なら、リフォームに300万円くらいかけてもすぐに回収できます。固定資産税や火災保険の支払いを加味しても4年続けて入居してもらえれば減価償却してしまえますから。一般に貸家の場合、減価償却の目安は10年くらいでしょう。地域&立地の条件が悪いところではもう少し時間が必要になるでしょうけど。入居率が80%で優良物件というのをひと部屋あたりに置き換えてみれば、空室になる期間が20%以上は発生するということになります。そういう前提で考えれば、先ほどの300万円投資&7万円家賃のケースなら、空室になる20%の期間を考慮しても5年で元が取れる勘定になります。所得税を計算に入れていませんが、所得総額でだいぶ変わってくると思うのでご自分で計算なさってください。減価償却中は少額になるはずですが。
4.乱暴に単純化したまとめ ◇家賃が5万円の部屋なら で、4年に1回くらいは退去があって、退去の後は数ヶ月空室状態が続き 上の計算では入居率は約90%、 家賃5万円の部屋のリフォームにかけられる費用の限界値は300万円あたり |
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