大学っちゅうとこの過ごし方
イチモクおかれればより楽しい
大学っちゅうものを魅力づけるのは、要は教授だ。イコール研究室。ゼミを選んで自分の専門に特化するのは3年から、とは言っても、2年の後半になっていきなりゼミ選びをしても自分の思うところには入れない。面白そうだなと思う講義は聴きに行く。面白い教授はいないかと、先輩や仲間、雑誌や専門書などにアンテナを張り巡らせる。そういった情報を集めつつ早めに研究室に出入りする。そのためには教授やその周りの人と何かしら接触を持つことが必要なわけで、講義の終わりに質問に行ったりするのも手っ取り早いし、そこまでしなくても毎回一番前で講義を受けるくらいのことでも充分教授の印象には残ると思う。こびる必要はないので、あくまで自分が興味を持てる講義をしてる教授、興味を持てるようなレポートや書籍を書いてる教授に絞って少しずつ接点を作っていけばいい。
研究室には、助手として院生などが学生のフォローをしているところがほとんどなので、1年のうちにそういう人に顔と名前を覚えてもらえるくらいになれば成功だ。今どきそんな学生は少ないはずなのでかわいがってもらえるだろう。雑用とか無理やりやらせてくる人もいるだろうけど、そこは適当にできる範囲で手伝えばよい。
かわいがってもらえるんだなあ、大学生ってやつは。とにかく。大学生のときと社会人になってからとで一番違うのは、大学生というだけで大人が大目に見てくれてかわいがってくれるということだ。大学4年のときに手塚治虫先生と藤子不二雄先生(当時はまだお二人一緒に仕事されてた)のとこにあつかましくも押しかけて行った。手塚プロに入れていただけるようになるまでには何日もかかったし、藤子プロに入れていただくにも何時間も必死にねばってようやくのことだったけど、中に入れていただいてからはスタッフの皆さんが信じられないくらい親切にしてくださった(大阪から行ってたというのも大きかったろうけど)。その経験が後々までずいぶん役に立ったし、そこで出会った方々にはその後偶然出会うようなことが度々あってその都度またご好意にあずかった。
研究の現場でも同じだと思う。面白そうな研究者に会うための努力をしたとして、邪見に扱われることはそんなにないだろう。お話をうかがうまでは無理かもしれないが、何か見せてもらうことくらいはできるかもしれないし、その周りの方々と知己を得て何かしらの収穫を得るくらいのことはできるだろう。
高校での勉強と大学での勉強で一番違うところはどこだろう? 大学は自由だ。いやな授業は受けなくたっていい(全部が全部というわけではないが…)。担任の先生なんていない。自分の尊敬できる先生と自由につきあうことができる。でもその分逆に責任もある。授業をただ受けてるだけでは何の意味もなくて、情報は授業以外の場でも自分でどんどん集めていかないといけない。そこまで含めての自由なのだ。
インターネットやTVからも情報は取れるがしょせんは無料で手に入るレベルの情報であって、役立つ情報を手に入れるために一番頼りになるのはやはり図書館だ。大学の図書館では、必要と判断されれば高い本も買ってくれる。そういう大学生ゆえの役得を最大限に利用して、興味のある本にはどんどん目を通して知識を広げるべきだ。書籍でなくても、学術雑誌、専門雑誌とかどんどん入れてもらうといい。 自分の専門分野以外にも、読んでるだけで情報通になれる「日経流通新聞」なんていう、世の中の新しいトレンドはなんでも扱う面白い新聞もある。とにかくいろんなものにいっぱい目を通して早いうちにお気に入りを見つければ、同世代の学生と比べてかなりの情報通になれるはずだ。まあ、何でもいいので人より抜きん出た知識を持ってるジャンルが自分の中にある、ってことが一番大事と思う。
とにかく本を読もう。文字から情報を得よう。説教じみた話になってしまってヤな感じかもしれないが、そこが抜け落ちていると、いつか必ず損をする日がやって来る。「本を読むやつ=情報を持っている&情報に積極的」ということで周りからイチモクおかれる近道でもある。
恋愛小説やドメジャー小説ばかり読んでてもあんまり意味はないってわけで、ここではあえてSF小説を薦めておく。未来社会を描いたものを多く読むことで、脳みその中のイメージが膨らむと思う。小説は、映画や漫画と比べてイメージが曖昧なのがいい。自分で勝手にイメージできるからね。SFでは、ヒューゴー賞とネビュラ賞という、映画のアカデミー賞のようなものがある。受賞作品をいくつか読んでみると中には気に入る作家も出てくるだろう。個人的には、ジェイムズ・P・ホーガン、ブライアン・W・オールディスあたりの未来観がすごいと思う。定番でロバート・A・ハインラインとか。「夏への扉」なんてもうほんとに最高だよ!
あと、イチモクおかれるという意味では、古典だろうなあ。最近はブームで漫画でもどんどん出てるが、「罪と罰」「レ・ミゼラブル」「戦争と平和」とか。分厚い本が多いがとりあえず1作完読すれば、何百年も生き残ってきた凄みがわかるはず。何百年も前の人間も今の人間も、考えてることや抱えてる悩みがそれほど変わらんってことに驚くはずだ。
(「アルバイトニュース*an」関西版元編集長・はやししょうじ)
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